■関連解説 
       ブラックウッドの功罪
                                     ハーディー教解説013号	
	
#1 ブラックウッドはスラムトライの最大の武器である。中にはブラックウッドを使うのは初心者であって、
   上級者になればブラックウッドを使わないでキュービッドでスラムに行くとか、
   キュービッドだけでスラムに行くのが格好いい、なんてことを言う人がいるが、間違いというより暴言の類であろう。

#2 勿論ブラックウッドが万能であるというわけではない。ブラックウッドが有効でない場合を見極め、
   ブラックウッドが有効である場合には必ずブラックウッドを使う、或いはそうでない場合でも
   ブラックウッドが有効である状況を作り出した上でブラックウッドを使用するのが良いと思われる。

#3 ブラックウッドが有効でないのは下記の2ケース
     (1)ボイドスーツがある場合:ボイドのあるスーツにAがあっても役立たない
     (2)あるスーツにAKがない場合:4KCそろってもAKを打ち抜かれたらダウン

#4 此処では(2)について言及する。
   下記のハンドで1Sオープンし、パートナーは2CのGF、2Hリビッドに対し3Sと余裕を示した。
   オープナーは当然スラムを考える。
     S:KQ7432 H:KJT6 D:Q6 C:A

#5 ここでスラムが確実とばかり4Nアスキングした場合、5Hと返事があったとして、6Sビッド出来ますか?
   パートナーの2AはSとHかもしれない。その場合DにKもなければDのAK打ち抜きでダウンは必須です。
   だったら5Sでサインオフする?それはないでしょうね。。。。

#6 確かにAK打ち抜きもあるだろうけど、そうじゃないケースの方が圧倒的に多いだろう。スラムなんてそんなものさ、
   という考えもあるかも知れない。でも確実にこれがわかる方法があるならそうすべきではないだろうか。

#7 この原因はDにコントロール(それもセカンドコントロール)がないからで、
   例えばこれがQ6ではなくてK6だったら4Nアスキングに何の問題もない。つまりスラムトライが判明し、
   ビッドスペースに余裕があればサイドスーツのコントロールを確認することが重要になるということだ。

#8 やり方は、自分の持つコントロールを下から紹介する。この場合は4Cビッドでそれを示す。
   これはCのコントロールがあるが、HもしくはDにコントールがない、ということを知らせる。
   C、D、H全てにコントロールがあれば、キュービッドなんかしないで自分で4Nアスキングすればよいのだから。。

#9 パートナーのビッドとその後の考え方は下記。
     4N 自分にD/Hともコントロールがあるのでアスキング
     4D DにコントロールがあるがHにコントロールがない。
         ⇒この後問題なく4Nアスキングできる。勿論自分にもHのコントロールがない場合は4Sでサインオフ。
     4H HにコントロールがあるがDにコントロールがない
         ⇒両者ともDにコントロールがないので4Sでサインオフ
     4S HにもDにもコントロールがない

#10 これで確実にサイドスーツのコントロールが確認でき、なければ4Sに止まることが出来る。
   スラムトライにおけるキュービッドがファーストコントロールではなくセカンドコントロールを示すべき意味合いも
   理解できるだろう。元々ファーストコントロールはアスキングでわかるのだから。キュービッドなんかしなくても。。。。

#11 さて下からコントロールを示すに対して、一番下のスーツを示せる場合は、上記のように何ら問題はない。
   問題は一番下のスーツにコントロールがない場合である。上記の例ではCとDが入れ替わったようなケース。
   この場合は当然4Dでそれを示す。つまり4DはCにコントロールがないこととDコントロールを示す。

#12 パートナービッドとその後の考え方は下記となる。
     4N 自分にC/Hともコントロールがあるのでアスキングビッド
     4H 自分にCのコントロールはあるがHのコントロールはない
         ⇒この後Hにコントロールがなければ4Sでサインオフ、あればアスキング
     4S 自分にもCのコントロールがないのでサインオフ
   このケースについては4Hがショウイングではなくアスキングになることに注意が必要。

#13 同様にC/D共にコントロールがなくHにのみコントロールがある場合は当然4Hでそれを示す。
   レスポンダービッドはもう簡単に理解できるだろう。

#14 これでAK打ち抜き対策は万全である。無論これらのコントロール確認が出来るシーケンスは限られている。
   3Sより上のビッドでスラムトライが明らかになる場合は、これらの確認が出来ないので、
   AK打ち抜きを覚悟の上でアスキングするしかない。

 なお、もう1つのボイドがある場合の対策については別の、ボイドショウイングレスポンス或いはボイドウッドが有益である。

2008.4.23 新規作成